館長@森
先日いらっしゃった初診のAさん(女性)、カウンセリングによる検討の結果、メインの担当は副館長になりました。また、施術の後半に他動運動も追加することにもなりました。Aさんの股関節にある緊張が、鍼とマッサージでは取りにくいのではないかということと、他動運動が有効ではないかという副館長の見立てがあったからです。基本、他動運動は僕の得意分野なので、他動運動だけは僕が担当することになり施術をスタートしました。
さて、副館長の施術が終わり、まずはざっと全身を見させていただきました。全体的に緊張はかなり取れていたので施術はかなり効果的だったと感じました。他動運動に移ります。股関節の固さを確認したのですが、それほど固さはありません。むしろ平均的には柔らかいぐらいです。それよりも僕が気になったのは「力を抜いてくださーい」という問いかけと共に動かし始めた時のAさんの反応です。急にAさんに力が入ってしまい、スムーズに動かすことができません。僕にはすぐに推察が浮かびました。Aさんは日ごろから気持ちに緊張をしやすいのではないかと・・・。
その後は声をかけながらゆっくりと他動運動を進めていきました。力を抜くことはだいぶお上手になり、つつがなく運動を進めることができました。一通り終わって分かったことは、長い時間をかけて貯めこんだ緊張により、身体全体が支配されていると状態であることです。最後に、気持ちの緊張をとるセルフトレーニングを指導して施術を終了しました。
今回はとてもよい治療ができたと思っています。短時間の他動運動ではありましたが、余計な力を抜くことで、どれだけ身体にプラスになることか、Aさんご自身にも実感をもっていただけたと思うからです。また、これは計算していたことではない直感的なものでしたが、セルフトレーニングの際に僕がAさんにお話ししたことがあります。「Aさんは人に委ねるということが不得意ではないですか?」Aさんにも自覚があるようで、とても納得していらっしゃる様子でした。心の持ち方や気持ちの動きというものは、良くも悪くも、時として身体に大きく影響をもたらします。癖になると自身では気が付きにくい心の緊張も、ほぐしてあげれば楽になります。それを患者さん自身が知ることも、今回の治療にはとてもプラスになったと思います。Aさんが心も身体も僕たちに委ねてくれたおかげです。
鍼灸マッサージとはスキンシップでもあるわけです。手のぬくもりや会話の中から伝わる心のつながりも大切な要素です。また、それを作るためにはお互いの信頼が無くてはなりません。このように、スペースワンでは心と身体をトータルに大事にしたいと考えています。
ちなみに、今回の他動運動をここまで活かすことができたのは、患者さん自身が訴えている症状を副館長がきちんと対処してくれていたからこそです。僕と副館長は無理に施術スタイルを合わせることはしません。患者さん個々の症状やタイプを考えて、より効果を出せるように担当を決めます。また今回のように、二人の持ち味を融合させる場合もあります。今回はスペースワンとして僕たちが大切にしていることをフルに活かすことが出来た治療となりました。僕たちもAさんには感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
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